量子化学計算に関係する用語を調べた覚え書きとして作成したものです。
有効核電荷
多電子原子において、別の電子が原子核の周りにあるために原子核の正電荷が遮られる。そのために原子核から離れた位置にある電子ほど原子核の正電荷は小さく感じられる。(これを遮蔽効果という)この効果を考慮に入れて注目する電子が感じる電荷のことを有効核電荷といい、次式で表す。
有効核電荷=原子番号-遮蔽定数(S)
多電子原子の波動関数において電子間の反発による位置エネルギーの影響を遮蔽効果として考慮し、電子-核間のクーロン力を有効核電荷を用いて計算することにより近似的に求めている。
有効内殻ポテンシャル
(ECP) 電子数の多い原子の場合、すべての原子軌道を記述するには多くの基底関数が必要だがECPは内殻の電子については価電子に対する有効ポテンシャルに置換えることにより基底関数の数を激減させることができる。また重原子になると重要になる相対論効果を取り入れたものが提供されている。
溶媒効果
分子軌道法では通常真空中の分子を扱う。しかし溶液中では分子は異なった性質や反応性を示すことがある。そのことを溶媒効果と呼び、分子軌道法にはその効果を考慮する幾つかの方法がある。
MOPACでは溶媒を一定の誘電率を持つ連続体とみなして分子との相互作用を計算することにより溶媒の影響を取り込むことができる。 その際キーワードとしてESP(静電ポテンシャルの計算)、EPS=**
(**は溶媒の誘電率)と指定する。
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の溶媒効果の項を参照